できごと
ハリウッド映画『バベル』には、日本での撮影時、400人のろう者がエキストラ出演しました。しかし、日本公開前の試写会当初、日本語のセリフに字幕がありませんでした。
これでは、耳の聞こえない人は、ストーリーを理解できません。
多くのろう者・聴覚障害者・手話関係者・友人たちの呼びかけで、1ヶ月足らずで4万人の署名が集まり、配給もとのギャガ・コミュニケーションズもそれを受け、共に考え、全てフィルムの全てのセリフに日本語字幕を入れると方針転換してくれました。
呼びかけの経緯
この問題については、
呼びかけ人(1) 河内健治(調布市・ろう者)
呼びかけ人(2) 岡本かおり(大阪市・ろう者)
呼びかけ人(3) 南 瑠霞(世田谷区・手話通訳士・バベル手話コーディネーター)
が中心となり、全国に呼びかけました。
この3人に続き、ともに呼びかけ人になってくださった方は、全国247人。
皆さん、ご協力、本当にありがとうございました。
バベル 字幕ごよみ
(1)2005年1月ごろより、日本では「バベル」撮影のためのスタッフ構成が、葵プロモーションを中心に続々と立ち上げられ始め、日本では出演者としてろう者が数多く起用される方針が打ち出された。
(2)その後、手話ランドきいろぐみに、多くのろう者の起用についての相談が持ち込まれ、手話コーディネートが依頼された。バベルでは、日本サイドの主人公となるちえこ役に始まりその友人役・エキストラ等、すべてろう者の役にはろう者を!!の方針で、オーディションが進められていった。
(3)2005年秋、キャスティングが最終決定。11〜12月に、アレハンドロ監督来日の元、日本シーンの撮影が行われた。バレーボールシーンに出演している選手は、3コート6チームのほぼ全てがろう者。半数以上は本物の現役ろう者女子高校バレー選手である。また、周りの応援席に座り、手を振って声援を送る観客もほとんどがろう者。これらを含め、バレーシーンにエキストラ出演したろう者は、およそ400人になる。
(4)全ての撮影を終え、2006年1月、バベル撮影チームは、アメリカへ帰国。編集作業が進められる。
(5)2006年春。カンヌ映画祭で、『バベル』公開。好評。
(6)2006年冬、ゴールデングローブ賞にノミネートされ、日本でも注目を集め始める。
(7)2007年になり、アメリカアカデミー賞で、6部門7ノミネート。
(8)そして、作品は、日本へ戻ってきた。
(9)2007年1月末、関係者向けに開かれた試写会で、日本語音声部分にのみ字幕のないことがわかり、試写会を見たろう者たち(主にバベルのエキストラ出演者)から『ストーリーがつかめない』と声が上がる。
(10)これを受け、調布市在住、河内健治(ろう者)が、ミクシーに、『悲しい』と気持ちを公表。
(11)2月12日、これを見た、デイリーヨミウリ(英字新聞)が、取材に駆けつける。
(12)2月14日 『バベル』の日本語音声にも字幕を!!と、1万人を目標に署名活動スタート。
(13)各新聞者・雑誌等が、徐々に署名のことを取り上げ始め、テレビ・ラジオでも話題に。
(14)2月20日過ぎ、バベル関係者から電話。配給会社も字幕について検討を開始している旨、連絡が届く。
(15)2月22日、改めて、こちらの意見公表。できるだけ多くのフィルムに字幕がつくことを願って、再度呼びかけ。
(16)3月14日 全国からの署名が4万人を越える。
(17)2007年3月15日 代表者らが、配給元ギャガ・コミュニケーションズに署名を届ける。
(18)3月22日、ギャガからプレス発表。全てのフィルムの日本語音声にも字幕が付くことが決定!!署名を呼びかけたメンバー、全国の聞こえない人・関係者に近年ない朗報となった。
もっと詳しく知りたい方は・・・
『バベルの日本語音声にも字幕を!!』トップページ(署名呼びかけの経緯等)
┣署名データ
┣署名と共に寄せられたメッセージ(抜粋)
┣今回ギャガの方に特にお願いしたこと
┣バベル手話検定(笑)
┗映画と字幕のひとくちメモ